結論から言うと、「0円」を謳うAIスクールでも、契約の条件次第では後から費用が発生するケースがあります。

また、法律上の中途解約ルールには「契約金額5万円超」という前提があります。契約金額が本当に0円(完全無料)の場合、この要件を満たしません。

そのため、特定商取引法による解約保護の対象にならないこともあります。

「無料だから安心」と決めつけず、契約前に総額・途中退会の条件・書面での明示があるかを確認することが大切です。

「0円」スクールの収益の仕組み

「受講料0円」を掲げるIT系スクールの多くは、あるビジネスモデルを採用しています。受講料そのものではなく、紹介手数料などで収益を上げるモデルです。

紹介手数料は、卒業後の就職・転職の成功時に紹介先企業から受け取るものです。

この形態のスクールでは、無条件に無料というわけではなく、一定の条件が契約に組み込まれていることがあります。

例えば、あるプログラミングスクールの例が報告されています。受講料自体は無料としつつ、日割り計算での費用請求が発生する規約になっている例です。

請求が発生するのは、受講開始から一定日数を過ぎての退会の場合です。紹介先企業への就職を断った場合も同様です。

出典:0円スクールは違約金が無いって本当?|CloudInt

AIスクールを検討する際も、こうした「条件付き無料」の仕組みがありうる点は参考になります。

特定商取引法の保護が及ぶかどうかがポイント

消費者庁の特定商取引法ガイドによると、対象はパソコン教室・語学教室などの継続的なサービス提供(特定継続的役務提供)です。

契約金額の合計が5万円を超え、契約期間が2ヶ月を超える場合に法の保護対象となります。

出典:特定継続的役務提供|特定商取引法ガイド・消費者庁

対象となった契約では、次のような保護が受けられます。

保護の内容 ルール
クーリング・オフ 契約書面を受け取った日から8日以内であれば、理由を問わず無条件で契約解除できる
中途解約権 クーリング・オフ期間を過ぎたあとも、理由を問わず中途解約できる
違約金の上限(サービス提供開始前) 1万5,000円まで
違約金の上限(サービス提供開始後) 提供済みのサービス対価に加え、「5万円」または「契約残額の20%」のいずれか低い額まで

逆に言えば、契約金額が本当に0円(完全無料)であれば、この法律が想定する要件を満たさない可能性が高いです。「5万円超」という要件そのものです。

その場合、法律上のクーリング・オフや違約金上限のルールが及ばない場合があります。「無料表記だから法律で守られているはず」とは限らない点に注意が必要です。

契約前に確認したいポイント

確認ポイント 内容
総額が本当に0円か 教材費・システム利用料・オプション料金など、別名目での費用が発生しないか
途中退会の条件 一定期間経過後の退会や、紹介先への就職を断った場合などに費用請求される規約になっていないか
契約書面の有無 口頭の説明だけでなく、解約条件が契約書面(電磁的記録を含む)で明示されているか
特定商取引法の対象か 契約金額・期間から特定継続的役務提供の対象になるかを確認し、対象であれば8日間のクーリング・オフが使える

いずれも、無料相談や申込の場でその場で即断せず、契約書面を持ち帰って確認する時間を取ることで防げるトラブルです。

トラブルになったときの相談先

次のようなトラブルが起きた場合は、消費者ホットライン「188(いやや!)」から最寄りの消費生活センターに相談できます。

説明と実際の請求内容が食い違う、解約を申し出ても対応してもらえないといったトラブルです。

事業者との交渉で解決しない場合は、国民生活センターや法テラスへの相談も選択肢になります。

まとめ

「0円」という表記だけで安心せず、総額の内訳・途中退会時の条件・契約書面の有無を事前に確認しましょう。

契約金額によっては、特定商取引法によるクーリング・オフや違約金上限のルールが及ばない場合もあります。そのため、口約束ではなく書面で解約条件を確認することが、トラブルを避ける一番の近道です。

関連記事