結論から言うと、個人事業主がAIスクールの受講料を経費にできるかどうかは次の点で判断されます。「事業と、内容がどれだけ直接結びついているか」です。

ここでの事業は、今行っている事業です。これから行う予定の事業も含みます。

すでに開業している場合は「研修費」として計上できる可能性があります。開業前に支払った場合は「開業費」として計上できる可能性があります。

ただし、いずれも趣味や自己啓発目的とみなされると経費にはできません。

この記事では、経費にできる条件と、開業前・開業後での扱いの違いを整理します。

なお、この考え方はAI特化スクールに限らず、AI活用カリキュラムを含むプログラミングスクールの受講料でも同じです。判断基準は「講座の内容」であり、「スクールの呼び方」ではないためです。

開業後に受講する場合:「研修費」として経費にできるか

すでに個人事業主として事業を行っている場合、事業に関係する研修のために支払った費用は「研修費」として経費にできます。

現在の業務に直接関係していなくても、経費として認められる余地があります。今後の事業拡大のために必要なスキルを学ぶセミナー・スクールである場合です。

出典:研修費を経費にする場合の勘定科目と仕訳例まとめ|マネーフォワード クラウド

一方で、事業との関連性が薄いと判断されると経費にできません。

特に個人事業主の場合、業務に直接関わる費用だと客観的に認められるためのポイントがあります。「具体的に予定されている業務の遂行に必要なスキルの研修である」ことです。

出典:セミナー受講料の勘定科目は?|クラウド会計ソフトfreee

例えば、次のようなケースは判断が分かれやすい部分です。

ケース 経費として認められやすさ
Webライター業を営んでおり、記事執筆にAIを活用するためのAIスクールを受講 事業内容と直接結びつくため認められやすい
本業とは無関係な分野で、将来AI関連の副業を始めたいという漠然とした理由で受講 事業との関連性が説明しにくく、認められにくい
国家資格など、取得すること自体に価値がある資格講座(一身専属的な資格) 資格取得費用として経費にするのが難しいとされた判例がある

開業前に受講する場合:「開業費」として計上できる

まだ開業前で個人事業主になっていない段階でAIスクールを受講した場合は、「開業費」として計上できる可能性があります。

開業費とは、事業を始めるために支出した費用のことです。法人と異なり個人事業主の場合は、「開業日までの支出」であれば幅広く対象になります。

出典:新規開業の際の開業費や創立費について|クレド税理士事務所

開業費は、支出した年に全額を経費にすることもできます。繰延資産として計上して5年以内に定額法で少しずつ償却することもできます。

出典:同上、個人事業主の開業費の範囲・会計処理は?|みかげ税理士事務所

開業初年度の利益が少ない場合は翌年以降に償却分を回すなど、状況に応じて選べるのが特徴です。

経費にする際に準備しておきたい書類

税務調査等で説明を求められた際に備え、次の書類は保管しておきましょう。

  1. 領収書・請求書:受講料の支払いを証明する基本の書類です。
  2. カリキュラム・申込内容がわかる資料:どのような内容を学んだのか、事業との関連性を説明できる資料を残しておきます。
  3. 受講目的のメモ:「どの事業のために、どのスキルを身につける目的で受講したか」を簡単にメモしておきます。そうすると、後から説明しやすくなります。

まとめ

AIスクールの受講料は、開業後であれば「研修費」として経費にできる可能性があります。開業前であれば「開業費」として経費にできる可能性があります。

ただし、いずれも事業との関連性が説明できることが前提です。

趣味や漠然とした自己啓発目的では経費として認められにくいです。そのため、受講前に「今の事業、またはこれから始める事業とどう結びつくか」を整理しておくとよいでしょう。

なお、経費にできるかどうかの最終的な判断は個々の状況によって異なります。そのため、具体的なケースは税理士や税務署に確認することをおすすめします。

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